【書評】AI vs. 教科書が読めない子どもたち

 

読解力が世界を支配する

 

どうも、ナカムラです。

 

このフレーズにピンときて
先日、移動中に読みました。

 

藤井聡太が羽生善治を破った朝日杯。
やっぱり将棋は人間対人間がおもしろい。
いくら強くても、コンピュータでは味気ない。

『AIvs.教科書が読めない子どもたち』は、
AI(人工知能)と人間の現状と未来についての本です。

 

著者は国立情報学研究所教授で数学者。東大合格を目指すAI「東ロボくん」の育ての親。

この本には、同プロジェクトから見えてきたAIの可能性と限界、
そして人間との関係が書かれています。

 

良いニュースと悪いニュースがひとつずつ

 

まず、良いニュースから。AIが人間を超える、
いわゆるシンギュラリティが到来することはない断言していて

 

なぜなら、AIはコンピュータであり、コンピュータは四則計算をする機械でしかないから。
どんなに高度になっても、その本質は変わらない。

 

たとえば東ロボくんの偏差値は57・1。東大は無理だけど、
MARCHなら入れそう。ただし国語や英語は苦手だ。
なぜなら、AIは意味を理解しないから。読解力がないのである。

 

しかし、これで人類の未来は明るいぞなんて安心してはいられない。

 

AIでもできる仕事は、この先どんどん奪われていくのだ。
これが悪いニュース。

 

ならばAIにできない仕事をやればいい、と思うだろう。
ところがこれもお先真っ暗。

 

全国読解力調査によると、教科書の文章を正しく理解できない
中高生が多いという事実。

 

なんと日本の子供3人に1人が簡単な文章すら読めない
これからの世界は、読解力がある
一握りのエリートに支配されてしまうのか。

 

といった内容なのですが、

 

この本は、AIについての一般人の誤解を解くという第一部と、
人間の読解力が低下しているけどこれはヤバイぞ、という第二部からなっています。

 

どちらも大変面白くて。

 

AIについては、話題のシンギュラリティの否定や、
私はシンギュラリティはいずれ起こると考えている
AIが出来ること出来ないことの違いなど、
が書かれています。

 

読んでいて驚愕したのは第二部からの内容

 

今の中高生の深刻な読解力低下がこれでもかと
言うほど説明されているのですが、

 

受験勉強、あるいは資格試験の勉強では、
とにかく暗記すること、数学のような問題ではパターン化して覚えることで
試験を突破出来るという風に言われることが多いです。

 

いわゆる詰め込み式教育というものですが
この勉強法というのは、実は本書の第一部で
AIが行っているディープラーニングと同じです。
(情報を詰め込むだけだからね)

 

AIと同じ学習方法で得られる能力というのは、
つまるところ、「AIに代替される能力」だということです。

 

確かに考えてみればそうなんですが、
AI(コンピューター)と人間では、学習スピードに天と地の差があるし
記憶力と精度をとってもこの分野で人間が勝つことは不可能
(そして、こういった能力を重視する職業は真っ先にAIにとってかわられるとしています)

 

日本の教育観でいくと子どもたちは、
基本的な知識を入れれば、その知識の正しい使い方を知り良き人になるはずである。
この教育観はかなり以前に崩壊していて

 

中教審答申は、そんな教育体系を改善すべき提唱されたものであったりするけど、
その基本となる読解力に焦点が当てられている。

 

何を今さら文章を理解できない子どもが多いことを取り立てて書く必要が
と思うけど、

 

注目すべきところは今、AIが労働市場に投入されるという大きな
イノベーションの時期に私たちが置かれていること。

 

親としては、AIに置き換えられることが容易な職業に
子どもたちを置くわけにはいかないって考えると思うんですけど

 

反面、読解力という知能のベース部分は疎かにされた結果が、
本書で書かれている中高生の深刻な状況に繋がっていると思われます。
(読解力は今のところ数学で記述できず、計算機であるAIが獲得できない
人間固有の能力だと書かれています。)

 

じゃあどうすれば??、という回答は得られないですが

 

AI(というよりディープラーニングという
大量のデータを必要とするアルゴリズム・統計学的手法)の限界をはっきりと
明示してくれててあとは、以下の様な情報も興味深くて

 

– 読解力を育むのに有用と思われる読書量や学習時間などが全く相関がなかった。
– ある種の設問ではSクラス(旧帝大)とAクラス(有名私立)で大きな差がある

 

読解力の定義はまだまだ洗練できる余地がありそうですけど、
どのような問題が解けないのか?というのも
具体的に例示されているので非常にわかりやすかったです。
未来予想も表面的ですが、未来を考えるというきっかけにはなってくる。

 

続編で「読解力とは?」「読解力を育む方法」なんかが
出てきたら、それも読んでみたいと思える一冊です。

 

先日も多摩地区で市長にAIが立候補していて
当選したらすごく面白いことになるだろうなと
見ていたんですが、残念ながら落選してしまいましたね。

 

世界初?多摩市長選に出馬するAI市長とは?
https://www.businessinsider.jp/post-165617

 

当選したらその市議会の様子とかめちゃめちゃみたかった。

 

今回は落選してしまったけれど
こういった動きっていうのは
これからどんどん増えてきます。

 

上記を踏まえて
ボク将来Youtuberになるんだ!って
子供が云ってたら否定するんでなくてホメてあげてください。
めちゃめちゃ先見の明がありますよ。

 

 

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